norinoriさんのコメントでスフォルツァート・ソウルノートのゼロリンクについて興味を持ちました。
同社のFacebookから関連記事を抜粋します。
ゼロリンク対応機種の登場を待ってみる価値はありそうです。
SFORZATO
2019年12月29日
USB-DACについている謎のDVI端子、SOULNOTE S-3にもついているのをご存じでしょうか?
ZEROLINK(ゼロリンク)という名前の端子です。
ゼロリンクはSOULNOTEとSFORZATOが共同で策定した「DACをクロックマスターにしてI2S, DSD信号を送るオープンな規格」です。
I2Sをトランスポート・DAC間で送る方法ではPS Audio社のHDMI端子を使う方法が有名です。なぜその方法を採用せず、ゼロリンクを作ったのか、それについて述べてみようと思います。
ゼロリンクを作った一番の理由、それはクロックにあります。
PS Audio方式ではクロックはトランスポート側がマスターになるのに対し、ゼロリンクではDAC側がマスターになります。音質を決定づけるD/A変換のタイミングがPS Audio方式ではトランスポートのクロックの品質で決まるのに対し、ゼロリンクではDAC側のクロックで決まります。
D/A変換のために最適に配置配線されたDAC側のクロックを使うことは音質上大変大きなメリットがあります。 クロックにこだわる両社としては、クロックを何がつながれるかわからないトランスポート任せにはできません。
そしてもう1つの理由が同期動作へのこだわりです。
当社USB DACおよびSoulnote S-3が使うD/Aコンバータ、ESS社のES9038Proには2つの動作モードがあります。一つは非同期モード、もう1つは128fsモードと呼ばれる同期動作モードです。
非同期動作モードで動作させるにはESS9038Proに供給するマスタークロックは1つの周波数で一定のクロックしか必要ありません。
DACの設定を一切変更せず、どんなサンプリング周波数の入力信号でも受け付けます。品質の悪い入力でも音飛びやノイズが出ないよう、ESS9038Proにはロックレンジが変更できます。ロックレンジを大きくすれば品質の悪い入力でも音飛びしないようになりますが、音質は劣化します。
ロックレンジを小さくすればするほど音質は向上し、ある意味ロックレンジをゼロにした状態、これが128fsモードと呼ばれる同期動作モードです。
ロックレンジ最小の音質と128fs同期モードの音質は別次元の差があります。音質を考えれば同期モード以外考えられません。
同期モードで動作させるには入力するサンプリング周波数の128倍のマスタークロックをESS9038Proに供給する必要があります。
入力によってES9038Proのマスタークロックの周波数を切り替える必要があります。切り替え時にはノイズの発生を抑えるためDACの出力をタイミングよくミュートする必要もあります。
PS Audio方式の伝送ではESS9038Proを非同期動作モードで使えばなんの問題もありませんが、音質を追求して同期動作させることは非常に困難です。
DACはいつサンプリング周波数が変化するか知りようがないので、内部の設定を適切に切り替えることができないからです。
そこでゼロリンクでは、I2S、DSDなどの音楽信号のほかに、トランスポートからDACに対してサンプリング周波数情報を知らせる手段を作りました。
再生する曲のフォーマットが変わるときは、トランスポートはDACにその情報伝え、DAC内部の設定が終わり準備が完了してから次の曲を再生することができるよう、お互いに通信する手段を持っています。
これによって、DACは同期動作が可能になっています。
当社USB DACは(Soulnote S-3も)同期動作には特にこだわった製品です。
USB通信もフロントパネルの表示やボタン操作を制御するサブマイコンもすべて10MHzマスタークロックで動作し、内部にクロック発信器をもたない設計です。
この完全同期動作のためにはゼロリンクは欠かせない手段なのです。